前回は柳川市の小中学校の統廃合の計画や、活用のアイデアについてまとめました。
今回は文部科学省が作成している廃校事例集より、実際の活用事例の一部をご紹介します。
そして柳川だったらどう活用できそうか、独断と偏見の妄想をコメントしています。
廃校活用事例1)石川県珠洲市 旧小泊小学校→大学の教育・研究拠点
珠洲市と金沢大学が連携し「金沢大学能登学舎」を開設。里山里海を活かした環境教育、能登の活性化を担う人材育成プログラム、地産地消の食堂、里山保全活動を行うNPO法人など、多種多様な取組の拠点となっている。
利用開始時点で金沢大学の研究活動を支える市民サポーターが組織され、民学連携の体制が構築されていたことも、その後の円滑な運営につながっている。
柳川だったら・・・
柳川市には高校が3校もあります(隣接の大川市、みやま市は各1校)。高校を卒業すると市外の大学へ進学し、そのままその土地で就職・結婚・永住というケースも少なくありません。廃校を民学連携のサテライト大学として利用することは、若者が故郷で学び続け、住み続ける土壌づくりになるのでは?
廃校活用事例2)岐阜県美濃市 旧片知小学校→和紙用具ミュージアム
美濃市は、美濃和紙の用具類を中心に、この地域の歴史や文化に関する農具・漁労具や家具等の民具類など歴史的資料の展示・保管・活用や、美濃和紙用具を製作する職人の育成施設が必要と考え、地方創生交付金を活用し、廃校を「美濃和紙用具ミュージアムふくべ」として整備した。
また技術を習得する方や地域住民が、生涯学習や交流活動等を行う地域交流センターとしての機能を併せもっている。
廃校を改修して整備するに当たって、地元説明会においてミュージアムとしての実施計画案を説明するとともに地元からの要望を聴取している。
柳川だったら・・・
柳川市には柳川古文書館がありますが、地元の歴史や文化に関する民具類をまとめて見学できるところはありません。有明海の漁労具は特徴的ですし、同じ農具でも形が違ったり呼び名が変わったり、地域性を感じます。併せて民具を使って当時の暮らしが体験できると、郷土学習+エンタメな場所になりそうです。
廃校活用事例3)北海道小清水町旧北陽小学校→せんべい工場
辛子明太子を練り込んだせんべい「めんべい」のほか、北海道限定の馬鈴しょでんぷんに道産ホタテなどを練り込んだ「ほがじゃ」の製造工場として活用して いる。工場内には直売所を併設し、同商品や九州の特産品の販売も行い、多くの観光客が来館している。
廃校活用において地域の理解を得るため、民間事業者は小学校の最後の在校生が描いた学校の思い出の絵をイラスト化し原画と併せて工場・売店に飾るとともに、工場見学用のフリースペースはいつも解放させている。工場オープン後も、夏休みや冬休み中には地元の子供たちが集う場となっている。
柳川だったら・・・
廃校を利用した企業誘致はどうでしょう。雇用を生むと同時に、最近工場見学は体験型観光コンテンツにもなっています。熊本や佐賀にもアクセスのよい柳川なら流通の面でも立地が良いかもしれません。
廃校活用事例4)島根県出雲市 旧光中学校→カワハギ陸上養殖施設
地元で建設業を営む民間事業者が、武道場を改修し、新たな魚種となるカワハギの閉鎖循環式陸上養殖を行っている。
事業が軌道に乗るまで、校舎は無償貸与。
廃校となった後も引き続き避難所や地域コミュニティの拠点として利用されているケースは多いが、管理が行き届かなくなることで施設の老朽化が進み、防犯面での不安があった。廃校を民間事業者が活用することで施設が管理され、さらに災害時には避難者へ発電機からの電力提供するなど地域住民へのメリットも大きい。
柳川だったら・・・
環境の変化により有明海の漁獲は年々厳しい状態になっています。海苔や採貝だけでない、新しい漁業として養殖施設の可能性もあるのでは?
廃校活用事例5)岡山県笠岡市 旧大島東小学校→シェアアトリエ
シェアアトリエ施設として木造の廃校を活用している。クリエイターが制作を行ったり、入居者同士の交流から知識や技術のシェアを行ったりできるアトリエとして使い続けることで、地域活性化 の手助けをすることを目的としている。
廃校の活用や地域の活性化を図りたい行政、校舎を残してほしい地域住民、そしてノスタルジー溢れる環境で仕事がしたい小規模事業者(クリエイター)の三者により、検討スタートから3年を経てシェアアトリエとしての活用が実現した。
柳川だったら・・・
市民文化会館「やながわ水都」の整備やAIR(アーティストインレジデンス)事業により、文化芸術活動の振興を進めている柳川市。展示のある一定期間ではなく、継続的にアーティストが滞在して作品に触れられ、その作品を購入できる場所があれば、さらに文化芸術が身近なものに感じられます。
廃校活用事例6)山口県周防大島町 旧和田小学校→サテライトオフィス
民間事業者の本社機能の一部を分散し、光インフラを活用したICT企業のサテライトオフィスとして廃校を活用している。
校舎は市が無償貸与。各教室が直線の廊下で連絡しており、事務室、企画開発室、テレビ会議室等の動線が良いなど大幅な改修を加える必要が無かった点もメリットだった。
周防大島町と山口県とが共同して企業誘致活動を行うことで、進出希望企業のリサーチとマッチング、進出協定の締結や諸費用に関する補助金の活用を円滑に行っている。
柳川だったら・・・
熊本・佐賀にも近く、空港や私鉄など公共交通機関のアクセスがよい柳川市。近年は自然災害の少なさも評価されています。利便性とほどよい田舎を持ち合わせており、都会の喧騒から離れたいサテライトオフィスとしての立地条件は整っているのでは?
廃校活用事例7)鳥取県八頭町 旧隼小学校→コミュニティ複合施設
地域の民間企業等を中心に新たに設立されたまちづくり会社により、コミュニティ複合施設「隼Lab.」として
開設した。1階をカフェやショップ、看護協会、地域福祉組織等が入居し、地域住民に開かれたコミュニティ空間。2・3階をコワーキングスペースやシェアオフィス等、サテライトオフィスを意識したビジネス空間を設計・整備。グラウンドは芝生に整備し、体育館の貸出利用も行っている。
校舎は無償貸与。グラウンドを会場に行われる地区の運動会では、他の集落に並んで隼Lab.(入居企業・会員)が一集落として参加したり、地域住民と入居企業が一緒に敷地内の草刈りやプール清掃を行うなど、新たな地域の拠点として機能している。
柳川だったら・・・
高齢者や子供のための施設は整ってきました。人口が減る中、これからは世代や属性を超えて交流できる場が、地域の課題をいろんな視点で解決していく場にもなってくると思います。市外の方も交えることで、柳川暮らしの新しい楽しみ方が生まれる気がします。
私たちの思い出の場所が、地域の拠点や交流・産業の場所として生まれ変わったらステキですよね。
廃校事例集には上記の事例について詳しく掲載されているので、ぜひご覧ください!